就業規則や法令面からの検討など、手順を踏んで事実関係を整理しておくこと。

解雇とは、有効に存続してきた労働契約を使用者の方で一方的に解約することをいいますが、解雇が有効であるためには、下記の事項を確認して進めることが必要です。
◇解雇理由は何か
解雇内容を時系列的に把握する必要があり、関係書類を検討して正確に把握すること。
◇事前の指導・注意・懲戒処分等の状況
繰り返し注意・指導はしたか。懲戒処分は行ったか。証拠になる文書を交付したか。
◇就業規則の解雇事由に該当するか
普通解雇については、使用者は雇用期間の定めがない場合には「やむを得ない事由」があれば当然解雇できるが、懲戒解雇の場合には、就業規則に懲戒の種別及び事由を定めることが必要です。
◇法律上の解雇禁止に該当しないか
下記に該当する場合には解雇が禁止されています。
- 業務上の負傷または疾病により、療養のため休業する期間及びその後の30日間
ただし、療養開始後3年経過後使用者が打切補償し、又は3年を経過した日において労災保険法による傷病補償年金給付を受けているときはこの限りではない。(労働基準法第19条) - 産前・産後休業期間と休業終了後30日間(労働基準法第19条)
- 国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇の禁止(労働基準法第3条)
- 監督機関に対する申告を理由とする解雇の禁止(労働基準法第104条2項、安衛法第27条第2項、派遣法第49条の3第2項)
- 女性の婚姻、妊娠、出産を退職理由と(男女雇用機会均等法第9条)
- 育児休業の申し出をし、または育児休業をしたこと、若しくは介護休業の申し出をし、又は介護休業をしたことを理由とする場合(育児介護休業法第10条、第16条)
- 個別労働関係紛争解決の申し出を理由とする解雇(個別紛争解決法第4条第3項、第5条第2項)
- 不当労働行為に当たる解雇(労働組合法第7条)
- 企画型裁量労働の不同意を理由とする解雇(労働基準法第38条の4第6号)
- 労働者の過半数代表者としての正当な行為(労働基準法規則第6条の2第3項)
◇解雇権の濫用に当たらないか
(合理的理由、社会通念上の相当性、信義則上の対応)
民法第1条2項の「信義誠実の原則」や同条3項の「権利の乱用禁止」や民法第90条の「公序良俗」など正当な理由(合理的理由、社会通念上の相当性)のない解雇は解雇権の濫用として無効とされます。
「正当な理由」とは、誰がみても解雇はやむを得ないと考えられる理由ということになります。
◇解雇については就業規則上の手続きは(懲戒解雇の場合には特に重要)
就業規則や労働協約に定めているならば必ずそれに従わなければならない。
懲戒解雇については、就業規則で解雇手続きに関する規定(例えば、懲戒委員会における協議や弁明の機会の付与等)を設けた場合には、この手続きに違反する懲戒解雇は無効と解されます。
◇労働基準法20条の解雇予告との関係は(予告期間、予告手当は必要か)
労働基準法第20条は、解雇予告について、原則として30日前までに予告するか、予告しない場合は30日分の平均賃金を支払うことを使用者に義務付けています。

◇本人の反省の態度・退職する可能性は
労働トラブルは使用者と労働者とのコミュニケーション不足による場合もありますので、労働者とよく話し会い、できるだけ解雇は避け、労働者からの辞職や合意退職を実現するように粘りづよく努力すること。
◇解雇告知の方法・内容
使用者は労働者が要求すれば証明書による解雇理由の書面を渡さなければなりません。
◇解雇の事後的問題の検討(提訴・監督暑への申告、合同組合への加入等)
解雇は最終的な手段です。
なるべく労働者からの辞職や合意退職を実現するように努力することがトラブルを避ける最善の方法です。
金銭で解決できればトラブルになって仕事が手につかない思いをするよりも早めに金銭で解決した方が得策です。








